毎年秋になると新型のiPhoneが発売されます。
iPhoneファンにとっては、いち早く買い替えて、新型iPhoneを手に入れたいところです。
その新発売されるiPhoneを一番に購入できるのは、キャリア4社(ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイル)とApple Store・ヨドバシカメラ・ビックカメラ・ヤマダ電機などの家電量販店のみです。
従来、キャリアが取り扱うiPhoneなどの新端末は、通信契約とセットでしか購入することができませんでしたが、現在は、通信契約をセット条件とせずに「端末購入プログラム」を利用することで、各キャリアでも、iPhone・iPadなどの端末のみを購入することができるようになりました。
これまでキャリアは、高い通信料を原資に端末代金を安くする「通信と端末のセット販売」で、iPhoneなどの高額端末を大幅な割引やキャッシュバックをして、他キャリアからの乗り換えを推進してきましたが、2019年10月1日の電気通信事業法の改正により、通信と端末をセットで販売する場合、端末の割引上限が、2万円(税抜)となったため、従来の2年契約を条件にした過度の通信端末の割引はできなくなり、通信契約をセット条件にしない端末販売なら、いくら割引しても、2万円ルールに抵触しないことから「端末購入プログラム」を打ち出しました。
それでは、端末購入プログラムの概要・適用条件とそのメリット・デメリットについて解説します。
「iPhone 13」シリーズを一番お得に購入したい方は、この記事も参考にしてください。
端末購入プログラムの概要
端末購入プログラムとは
「端末購入プログラム」は、一定の条件を満たせば、Apple StoreのSIMフリー版よりも割引価格で、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの各キャリアで購入することができます。
例えば、ソフトバンクのiPhone 13(128GB)の場合、端末を48回の分割払いで購入し、25回目以降の支払は、購入端末の返却(ソフトバンクのみ新端末の買替要)を条件に、残債の支払を免除され、新型のiPhoneが、最大定価の50%の割引率で購入することができます。
購入例:iPhone 13(128GBモデル) | |||||
Apple Store | ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル | |
分割 価格 | 4,117円×24回 一括98,800円 | 2,444円×23回 +残価55,440円 一括111,672円 | 2,700円×23回 +残価52,920円 一括115,020円 | 2,415円×48回 一括115,920円 | 2,058円×48回 一括98,800円 |
2年返却時実質価格 | 56,232円 | 62,100円 | 57,960円 | 49,392円 |
さらに、キャリアの通信契約をしなくても、そのキャリアで端末のみを購入することができます。
従来、新発売されたiPhoneをワイモバイル、UQモバイルのサブブランドや格安SIMで利用したい場合、SIMフリー版のiPhoneを「Apple Store」か「ヨドバシカメラ」「ビックカメラ」などの家電量販店で購入して使用するしかありませんでしたが、この端末購入プログラムを利用すれば、ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの各キャリアでiPhoneを購入することができます。
(今回からキャリアで販売されるiPhoneも「SIMフリー端末」となります。)
毎月の通信料を安くするサブブランドなどにMNP(乗り換え)を検討している方は、この記事を参考にしてください。
割引適用条件
適用条件(端末返却など)をクリアすることで、端末分割購入代金の残債の支払が免除され、トータルで割引価格で購入することができます。
適用プログラム | ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル |
いつでもカエドキ プログラム | スマホトクする プログラム | トクする サポート+ | アップグレード プログラム | |
分割回数 | 23回+残価分 | 23回+残価分 | 48回 | 48回 |
返却時期 | 1〜25ヵ月目 | 13〜25ヵ月目 | 13〜25ヵ月目 | 25ヵ月目 |
支払免除額 | 残価分 | 残価分 | 最大分割24回分 | 分割24回分 |
返却時機種変更 | 不要 | 不要 | 必要* | 不要 |
返却時手数料 | ― | ― | ― | 3,300円 |
その他 | ― | トクする ボーナス* | ― | 楽天カード 決済必要 |
* ソフトバンクは、10月中旬に返却時買い替え条件を撤廃する予定。
* 分割支払金を「au PAY カード」で支払うと、分割支払金総額の最大5%をPontaポイントで還元。
ドコモ
いつでもカエドキプログラム
2021年9月24日から、従来の「スマホおかえしプログラム」と違って、auと同様の「残価設定型24回の分割払い」で、対象機種を購入した際に、一定の条件のもとで、購入機種を返却することで、24回目の残価額の支払が免除されます。
あらかじめ設定した2年後の価格を残価として、あらかじめ本体価格から差し引いて、残りの金額を分割払いにすることで高額の端末の支払負担を軽減するしくみです。
プログラム利用時に、「dポイントクラブ」もしくは「ドコモビジネスメンバーズ会員」で、購入された対象機種をドコモが定める返却条件に基づいて返却することと、返却条件に定める違約金及び査定条件に定める故障時利用料が発生した場合の支払いについて事前に同意することが条件となります。
現在の対象機種は、iPhone 13全シリーズなど一部のみですが、今後、対象機種は増えて行くとのことです。
スマホおかえしプログラム
端末代金を「36回払い」で購入し、24回目支払時に端末を返却することで、残りの最大12回分の支払いが不要となります。ドコモのみ返却時に新端末の買替は不要です。
プログラム利用時に、「dポイントクラブ」もしくは「ドコモビジネスメンバーズ会員」で、購入された対象機種をドコモが定める返却条件に基づいて返却することと、返却条件に定める違約金及び査定条件に定める故障時利用料が発生した場合の支払いについて事前に同意することが条件となります。
au
スマホトクするプログラム
2021年9月17日から、「かえトクプログラム」を改め、「スマホトクするプログラム」として、リリースします。
しくみは「かえトクプログラム」と同じく、残価設定型で、24回払(23回+残価分)を条件に、購入端末の2年後の買取価格を残価 (24回目(25ヵ月目)支払分) として設定し、25ヵ月目に端末を返却し、新端末を買替することで、本体価格から残価分を除くことで、23回までの支払額を割安にして、最終回支払分の残価を支払不要となります。
従来の「かえトクプログラム」との違いは、「スマホトクするプログラム」で購入した機種の分割支払金を「au PAY カード」で支払うと、分割支払金総額の最大5%をPontaポイントで還元する「スマホトクするボーナス」があります。
ソフトバンク
ソフトバンク(トクするサポート+)
ソフトバンクも、分割期間と新端末の買替条件は相違しますが、ドコモのスマホおかえしプログラムと同様で、端末料金を「48回払い」で購入し、24回目支払時に端末を返却し、新端末を買い替えることで、残りの最大24回分の支払いが不要となります。
一部プログラムをリニューアルし、2021年10月中旬に返却時買い替え条件を撤廃する予定です。
楽天モバイル
iPhoneアップグレードプログラム
楽天モバイルは、ソフトバンクと同様で、端末料金を「48回払い」で購入し、24回目支払時に端末を返却し、残りの最大24回分の支払いが不要となります。
端末購入プログラムのメリット
最新iPhoneの割引率が高い
最新のiPhoneシリーズでも、定価の約50%の割引率となっています。
購入例:iPhone 13(128GBモデル) | |||||
Apple Store | ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル | |
分割 価格 | 4,117円×24回 一括98,800円 | 2,444円×23回 +残価55,440円 一括111,672円 | 2,700円×23回 +残価52,920円 一括115,020円 | 2,415円×48回 一括115,920円 | 2,058円×48回 一括98,800円 |
2年返却時実質価格 | 56,232円 | 62,100円 | 57,960円 | 52,692円 | |
割引率 | 49.7% | 46.0% | 50.0% | 46.7% |
通信契約がなくても利用できる
端末購入プログラムは、キャリアの通信契約なしで利用できるので、このプログラムを利用すれば、端末単体を購入でき、サブブランドなどの通信料の安いプランと組み合わせれば、トータル的に安く済ませることも可能です。(通信契約なしで利用する場合は、店頭のみの購入となります。)
端末購入プログラムのデメリット
端末故障の場合は最大22,000円の支払いが必要
返済時点において、対象端末に、電源が入らない、充電ができないなどの故障、水濡れ、著しい外観破損および画面割れ、その他指定の査定基準を満たさない場合は、端末購入プログラムの適用を受ける際は、別途「故障時利用料」を支払う必要があります。各キャリアの利用料は以下の通りです。
適用プログラム | ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル |
いつでもカエドキ プログラム | スマホトクする プログラム | トクする サポート+ | アップグレード プログラム | |
保証未加入 | 最大22,000円 | 最大22,000円 | 最大22,000円 | 最大22,000円 |
保証加入 | 2,200円 | 2,200円 | 最大12,980円 | 最大12,980円 |
返却時手数料 | ― | ― | ― | 3,300円 |
ただし、下記の場合は、端末購入プログラムの適用を受けることはできません。
- 暗証番号ロック解除とオールリセットが実施されていない
- 製造番号が確認できない
- 改造などメーカーの保証外となるような場合
- 故障・破損が著しい場合
ソフトバンクは新端末に買い替えが必要(撤廃予定)
一部プログラムをリニューアルし、2021年10月中旬に返却時買い替え条件を撤廃する予定です。
ソフトバンクの「トクするサポート+」は、ソフトバンクに返却するだけでなく、引き続き、ソフトバンクで新端末を買い替えて、初めて本プログラムが適用されます。
つまり、どこかで端末を返却のみとして買い替えしない限り、この端末購入プログラムのループからは離脱することはできず、同じキャリアから2年毎に買い替える必要があります。
買い替える端末は、スマートフォン・ケータイ・タブレット・ルーターのいずれかとなります。
端末を買い替えずに返却のみとする場合は、下取りと同等の扱いとなり、ソフトバンクの規定の条件・価格(ポイント還元等)での買い取りとなります。
端末購入プログラムは本当にお得なのか⁉
ここまで解説して来てましたが、iPhoneが50%近くの割引率で購入できるのは「本当にお得なのか⁉」未だに、疑問をお持ちの方も多いと思います。
確かに2年利用なら、半額近くの価格で新製品が手に入るので、一見お得に見えます。
それでは「iPhone 13 128GB」を例に見てみましょう。
Apple Storeの「2年・3年返却時実質負担金」は、iPhone 13売却時に、下取りプログラムを利用した場合の実質負担金となります。
iPhone 13の下取り価格は、2年前の2019年9月に発売された「iPhone 11」の下取り価格(最大39,000円)、3年前の2018年9月に発売された「iPhone XS」の下取り価格(最大31,000円)を参考価格としています。
購入例:iPhone 13(128GBモデル) | |||||
Apple Store | ドコモ | au | ソフトバンク | 楽天モバイル | |
分割 価格 | 4,117円×24回 一括98,800円 | 2,444円×23回 +残価55,440円 一括111,672円 | 2,700円×23回 +残価52,920円 一括115,020円 | 2,415円×48回 一括115,920円 | 2,058円×48回 一括98,800円 |
2年返却時実質負担金 | |||||
11 | 59,800円 | 56,232円 | 62,100円 | 57,960円 | 52,692円 |
3年返却時実質負担金(36回) | |||||
XS | 67,800円 | 83,952円 | 88,560円 | 86,940円 | 77,388円 |
最終実質負担金(48回) | |||||
― | 98,800円 | 111,672円 | 115,020円 | 115,920円 | 98,800円 |
これだけ見ると、明らかに2年時点の実質負担金は、楽天モバイル>ドコモ>ソフトバンクの順で、Apple Storeで下取りに出すよりもおトクになります。
また、2年で返却しない選択肢もあり、3年間利用した場合には、Apple Storeの3年後のiPhone 13の下取り価格にもよりますが、Apple Storeが一番おトクになります。
すなわち、発売時の端末定価や下取り価格に左右されますが、人気のiPhoneは、2年で返却する場合は、楽天モバイルが最安ですが、それほど差はなく、Apple Storeでも、ドコモ、ソフトバンクと変わらない結果となります。
また、2年を超えて継続利用して買い替える場合は「Apple Store」で購入した方が実質負担額は安くなりますが、今のiPhoneの性能からして、4年以上に渡って使用することもあり得ることを考えると、Apple Store価格と同額の楽天モバイルで購入するのが一番おトクではないかと思います。
(ただし、楽天モバイルは、2年を超えて4年までの間で返却する場合、解約手数料3,300円とApple Storeの下取り価格を考慮すると、Apple Storeの方がおトクだったとなる可能性が高いです。)
最後に
内閣府の消費動向調査によれば、スマホの高額化に伴い、買い替えまでの平均年数は伸びる傾向にあり、従来2年サイクルが一般的だったのが、今では3~4年以上利用する人が増えています。
実際、2年で返却する「端末プログラム」は時代に合ったしくみではなく、あくまでも、2年間で買い替えを促し、かつ、顧客を囲い込むための戦略と言えます。
「端末購入プログラム」の概要・適用条件とそのメリット・デメリットを解説してきましたが、このプログラムが本当におトクなのかをまとめますと、
そもそも、「端末購入プログラム」の利用する人は、こんな人ではないでしょうか。
それ以外で、2年を超えて利用する人、一世代前の機種で十分な人は、このプログラムを利用する必要はないかと思います。
ただし、楽天モバイルだけは、Apple Storeと同価格なので、例えば、iPhone12 mini 64GBモデルを「iPhoneアップグレードプログラム」を利用して69,800円で購入すれば、2年時点で新機種に買い替えることもできますし、その時点で4年間使い続けることもできます。
回線契約なしで、端末購入プログラムを利用するなら、「楽天モバイル」が一押しです。
また、端末購入プログラムを利用したい人で、他社からのキャリアへの乗り換え(MNP)なら、キャリアのオンラインショップでの購入がおすすめです。
端末割引キャンペーン(22,000円本体割引)や事務手数料(3,300円が無料)などのお得な特典があります。
以上、端末購入プログラムの利用で買い替えを検討されている人のご参考になれば幸いです。
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